2号機と過ごした9日間 その3 [活白2号機]
まきば線に降り立った2号機
ラフターのフックも外され、まきば線のレールに着地した2号機。
「あっはっはっは、やっぱり汽車は、あれだねぇ、レールの上にないとダメだねぇ。納まりが悪いもんねぇ。」
糸魚川小学校から2号機を運んできたトラックの運転手さんが、まきば線に載った2号機を見て言います。糸魚川でも短いとはいえレールの上に乗っていたんですけど、やっぱりつながってる線路の上がいいのは同感です。
しかし感傷に浸っている暇はありません。わたしたちに残された時間は限られています。さっそく整備作業にとりかからなければなりません。が、そのためにはヤードの端に降ろされた2号機を機関庫まで回送する必要があります。もちろん自走はできませんので、2号機を牽引するべく酒井102号機がスタンバっています。
でもその前に、確認しなければならないことがあります。ずばり「車輪が回るだろうか」。しかも2号機は蒸気機関車ですから、そのまま牽引したりして車輪をまわすと、ロッドやピストンまでもが動いてしまいます。
幸いにも2号機は25年前に東洋活性白土専用線が廃止になった際、当時機関士だった松沢さんが整備されたのでしょう、ロッド周りはグリースでたっぷりとコーティングされていました。そのグリースを剥がしてみると、ロッドやクランクピンなどは錆付きもなく、そのまま滑らかに動きそうでした。
しかし、そのロッドはピストンに繋がっています。もしピストンがシリンダーに錆び付いたりして固着していたら、当然車輪は回りません。もしそのまま無理に動かしたら、場合によってはクランクピンやロッドの破損にも繋がりかねません。最後に動かしたのは25年前、ピストンが固着している可能性は充分にあります。
そこで、念のため、この時点でメインロッドを外し、ピストンとの繋がりを切り離して機関庫まで回送することになりました。
グリースコーティングされたメインロッドが外される
メインロッドが外されると、この状態で、2号機に酒井102号機を連結します。
そして2号機の車軸のメタルに給油し、牽引に備えます。そして102号機でゆっくりと引っ張ります。102号機のトルクコンバーターを通してじわっと力を掛けていきます。
…するり。
2号機の車輪は何のストレスもなく回りました。2号機はそのまま、さもそれが当然のごとく、ゆっくりと機関庫へと牽かれていったのでした。
空には梅雨の合間の青空が広がっていました。
102号機に推され機関庫に向かう2号機
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